地獄飯から天国飯、そして語学学校入学へ
今日で家にほぼ引きこもって5日目である。
たまに歩いて行ける公園に散歩しに行ったりしたが、バンクーバーのこの時期はもう雨。
「外であぁ気持ちいなぁ」とはなかなか言えない。というか村上と過ごし足を負傷した「あの、魔の2日目」が1番快晴だった。
そしてファーザーの地獄飯を食べ続けて5日目でもある。
もう限界だった。
こんなにも食で合わないならもうカナダはダメかもしれない・・・
というかカナダ料理というものをまだ一度も食べていないはずなのに、なぜ中華料理で苦しまなければならないのか・・・
と、その時である。幼馴染から連絡があり、「明日旦那もいるし、よかったらおうち遊びに来ない?エッグベネディクトを意気込んで作ってくれるらしい」とのことだった。
エッグベネディクト・・・
エッグベネディクトを食べられるの・・・??
辛くない料理食べられるんですか・・・?
明日は下痢しなくていいんですよね・・・?
と藁にもすがる思いで「行きます」と即答した。
彼らの住まいは郊外にある。
ものすごく閑静な住宅街で、自然に囲まれた丘の途中あたりにあり(おそらく)、「ハチドリが水を飲みに来るんだよ〜」と朗らかな情報と、「クマも大きいのがきたりするんだよ〜」と恐ろしい情報もサラッと教えてくれたのは、幼馴染の旦那、Mr.Cである。(本当はこんな呼び方してないけど、名前は伏せたいので)
家に到着したら、すぐにエッグベネディクト取りかかってくれた。
私は彼らのお子と一緒に椅子に座りながら食事を待つ。
途中「飲み物でもどう?」とかMr.Cは流れるような英語で聞いてくれていたが、全く聞き取れず、幼馴染に翻訳されながらコーラやお水をいただいた。
おおよそ40分後、ご自慢のエッグベネディクトが完成した。
サーモンのエッグベネディクトにベーコンのエッグベネディクト、「どっちが好き?」とか聞かれたが、もうそんな次元ではない。
素晴らしすぎて、幸せしか感じなかった。
これでカナダのご飯が無理説は一蹴されたのである。
完全に私のホームステイ先のご飯が悪い。
実はこれにとどまらず、おやつに夕食までご馳走になった。
カナダに来て1週間で天国飯と地獄飯を味わった。
この後はまた地獄飯に戻るが、美味しいご飯があるという事実を知れただけでこの先も生きていける。
めちゃでかい素敵な家と素敵な家族に触れ合い、後ろ髪を引かれながらホームステイ先へと戻ったのである。
2日後、ようやく私の学生生活がはじまった。
私は「ILSC Vancouver」校というところに通う。エージェント曰く、「バンクーバー1厳しい、イングリッシュポリシーを大事にした学校ですよ」ということで、あえて厳しい環境に身を置きたく選んだ。
私は朝8時半〜13時までの授業を受けることになっており、朝は6時起床が必須である。
「英語に厳しい」のはいいが、「起床に厳しい」必要はないのに・・・とブツブツ言いながら支度をする。
なんせ遠いのである、バス停には7時に着いていなければならず、ありがたいことに、それに合わせてマザーがランチボックスを作って持たせてくれた。
日に日に寒くなる中、緊張で脇汗をかきながら学校へ向かう。
さて本日の予定だが、オリエンテーションで学校の設備を案内された後、次の予定を聞いて早めの解散ということになっている。解散時間はわからない。
学校に到着すると、コロナ禍ではあったがものすごい数の生徒がエントランスにさまよっており、完全に「密」を体現していたが、もはやソーシャルディスタンスを気にしている人は見かけなかった。
人並みをかき分け中に入ると、オリエンテーション用につなげた大きな部屋に通され、「クッキー、スナック、飲み物自由だよ〜」と半ば強制的に食べることを勧められ訳もわからないままクソ甘いクッキーを頬張る。
「このクッキーを食べたら英語が飛躍的に伸びるんだぜ」とか言ってくれたら吐いてでも食うが、どうやらそうではないらしいので1枚が限界だった。(甘さ的に)
その他、どこからかやってきたジムの勧誘や、学校関連のアクティビティ団体が毎日どんな催しをしているかなど、どれも強い勧め方をしてきて、「鼠講(ねずみこう)勧誘」の雰囲気もあったが私は強い意志で断った。実際は優しい全然怪しくない人たちだったが、英語の聞き取れない私は怖かったのである。
・・・
ということで初日があっけなく終わった。
軽く話したり、会って早々インスタグラムを交換したり、それなりのことはしたようにも思うが、大きな進捗はなかった。
授業は翌日から始まる。
特にお金を使うこともなく1時間15分かけてホームステイ先へ帰り、筋トレや自主勉強などをして夕食の時間になった。
いつものぶつ切り鶏肉の炒めにパラパラのお米、そして今日はお味噌汁もついてきた。
おかずは味が濃いのに汁物は極めて薄味にするファーザーは、例にもれずお味噌汁も薄味だ。
ほぼお湯だが、辛くないだけ胃が癒される。
そうしていると村上も帰ってきて、一緒にご飯を食べた。
村上「いや〜授業全然ついていけてないすわ〜レベルが合ってないかも、下げようかなクラスのレベル」
私「まぁまだ1週間やし」
村上「でもしゃべれないのをイジられるんですよね」
私「愛されてるやん」
と楽しそうである。
その後も、裏庭で野放しにされている犬にビビりながらタバコを吸う村上は、良くも悪くも海外留学を堪能していた。
私もこの1週間でいろいろ経験したが、まだ私にはしないといけないことがある。
それは家探しだ。
このホームステイ先には1ヶ月しか住めない。
それ以上延ばしたくないというのも事実だが、とにかく住む場所が無くなるという恐怖は今まで経験したことがなく、非常に気持ちが落ち着かない。
銀行口座開設と同様、初心者には非常に難しい案件であるが、するしかないのである。
とにかく、留学生活っぽい生活がスタートした。
家探しの生活も合わせて。